目次 |
1章.定義 1.確定拠出年金の時代背景 2.確定拠出年金のメリット 3.流れ 4.個人型と企業型 2章・運用方法 1.最適利用法 2.運用商品を決める方法 3.NISAと確定拠出年金の課税口座との使い分け 3章・商品別の特徴 1.特徴とラインナップ 2.投資信託の株式 3.投資信託としての債券 4.投資信託のREIT |
老後の生活資金を計画的・効率的に準備するための制度のようです。※11
年金には国民年金と、会社員なら厚生年金に入っていて、さらに会社によっては企業年金を取り入れているところもあり、その企業年金の一つに「確定拠出年金」があります。
「税が軽くなる」積み立てで、加入初年度は税金・社会保険料の軽減効果があるようです。
また国が認めた積み立て制度で掛金に税金がかからないようです。
ただ原則60歳までは途中で引き出せないようです。※11
税制的に得する仕組みをわざわざ国が用意しているとも考えられるようです。※11
1章.定義
確定拠出年金は、401K・DC・iDeCo(特に個人型確定拠出のことを言う)などさまざまな名前が付いています。
1.確定拠出年金の時代背景
2012年、適格退職年金制度がなくなるため、確定拠出年金(401K)もよりも盛んになると考えられるようです。ところが、いまの401Kでは、多くの企業の従業員が元本割れを回避しているために、その拠出額の実に50%以上が預金として“眠っている”状態になっているようです。
アメリカでは401Kは1978年にすでに導入されていたようです。※14
2.確定拠出年金のメリット
➀積立額が全額所得控除されるようです。
②運用益にかかる2割の税金が非課税のようです。
投資信託の運用で得た利益には約20%が課税されるようです。iDeCoだと運用益は非課税で儲けがすべて自分のものになるようです。※13
3.流れ
確定拠出年金(DC)の場合は株式に直接投資することはできませんから、株式のデイトレードのようなことはできません。原則としては、まとまったお金を一度に投資するのではなく、毎月一定の金額を積み立てていくということですから、短期トレード的な運用方法とDCはまったく縁がないようです。
[買うタイミング]またDCの場合は毎月一定金額の掛金で購入していくことになりますから、タイミングを考えることはありません。
[売るタイミング]基本は60歳まで運用が続くわけですから、多少の調整はしたとしてもそのまま保有し続ければいいのです。ただ60歳になった時点でリーマンショックのようなことが起こらないとも限りません。したがって、売却することについては多少判断が必要になります。※9
工程は以下のようになります
➀拠出…複数の選択肢から掛金を選択(税金・社会保険料の算定対象外)
②運用…商品ラインアップから商品を選択(利息運用益が非課税。ただし特別法人税1.173%がかかりますが現在課税は凍結中のようです。
➂受取…原則60歳以降の引き出しになるようです(控除の対象外)。※5
●受取り方
一時金…積立と運用で築いた資産を一度にまとめて受け取るもの。60~75歳(2022年5月~)のいつ受け取るかは自由のようです。一部を一時金、残りを年金で受け取るなど併用も可能のようです。
退職所得控除の基準…退職金とiDeCoで所得控除が共有され、超えた額の1/2に課税がかかるようです。iDeCoを先に一時金で受取り、5年以上後に退職金を受け取れば、枠を分けることができるようです。※13
年金…最短5年~最長20年で分割して受け取れるようです。さらに年1回、4回、毎月などのパターンも選べるようです。給付中は口座管理料や給付手数料がかかるようです。
公的年金等控除…同じ年に受け取る公的年金と企業年金で控除枠を共有するようです。65歳未満は年60万円、65歳以上は年110万円以下なら税金がかかんらないようです。オススメはiDeCoと公的年金の受給時期をズラすことのようです。公的年金は受給時期を繰り下げるほど年間支給額が増額されるようです。5年繰り下げて70歳からもらうと、65歳からもらうより42%も多くなるようです。
iDeCoを年金でもらうなら、公的年金の受給を繰り下げて、空白期間でiDeCoを受け取るのがベストのようです。節税メリットが大きいうえ、公的年金額もアップになり、ダブルでオトクになるようです。※13
4.個人型と企業型
企業型確定拠出年金を加入している人はiDeCo(個人型確定拠出年金制度)に加入することができません。
厳密には、2016年までは企業型と個人型に重複して入ることができなかったのが、2017年1月からは、すでに「企業型」に入っている人でも、一部の非値を除き、「個人型」にも加入できるようになりました。
ただ企業型確定拠出年金に加入していて、それに上乗せして掛金を出す「マッチング拠出」をしている会社員は、2017年以降もiDeCoには加入できません。
またマッチング拠出を利用する場合、加入者は事業主が拠出する掛け金の額を超えて拠出することは出来ず、また双方の拠出合計額は加入者の拠出限度額内に収める必要があるようです。※8 (ただ、掛け金を超えて拠出できるような気もします)
今回の法改正は、「自助努力で年金を増やそう」というもののようです。※10
[企業型]
企業型確定拠出年金は、掛け金を全額企業が出す制度です。
勤務先が、あなたの資格や勤続年数などに応じて毎月拠出掛金を払っています。
2011年年金確保支援法により、2012年1月から企業の掛金拠出に加えて、従業員が自分で上乗せして掛金を出せるようになりました(従業員拠出)。これを「マッチング拠出」といい、企業の拠出額に上乗せする形で+αの掛金を、給料から出すこともできます。※9※10
企業型の場合、企業によって運用商品のラインナップに大きな差があるし、加入の際の教育として、或いは継続教育として提供される投資教育の中身が信用出来ない場合があるようです。※8
企業型を取りいれる会社は、企業が持っていた退職金(確定給付金(DB)などで企業が運用していたりもする)の口座を個人が受け継ぐとも考えられます。
ただ口座手数料は企業が負担してくれます(個人型は個人で負担)。
また口座には現金でなく「商品」を買って口座に保管します。
これにより退職金がガラス張りになるともいえます。
2章・運用方法
1.最適利用法
①自分に可能な最大限の金額で利用するといいようです。
確定拠出年金の所得控除と運用益途中非課税の有利さは多くの場合圧倒的だからのようです。
②確定拠出年金での運用は「自分の資金運用全体の一部」だと心得るといいようです。
確定拠出年金もNISAも、あくまで自分の運用の「全体の中の一部」であり、運用方針は、自分の資産運用全体として最適なものを考えるといいようです。
③運用全体の中で期待収益率の高い商品を集中的に割り当てることのようです。
確定拠出年金の最大のポイントは「運用益が非課税になること」のようです。このメリットを最大限に活かすには、自分の運用全体の中で期待リターンの高い部分の運用を、確定拠出年金に集中的に割り当てるのが原則のようです。
特に低金利の現在、確定拠出年金に元本確保の商品を割り当てるのは実にもったいないようです。※8
確定拠出年金は「換金性」がまったくありません。
しかも、運用する期間が長いという特徴を持っています。だとすれば、普通の資産運用よりは少し成長性に重点を置いた運用にしてした方がいいということになります。つまりややリスクを高めにしても、長期に成長が見込めるような運用方法を考えるべきということです。※9
また本来は確定拠出年金制度を利用してリスク資産に投資をするほうが税金を考えると有利なので、確定拠出年金ではできるだけリスク資産を活用したほうがいいとも考えられるようです。※9
一方、年金のような長期の運用の場合はインフレによるリスクも考慮したうえで預金と投資信託などの有価証券の保有比率は考えておくべきといえるようです。※9
他の意見として、分散投資できる全世界株やバランス型などなら一本だけでも十分だともいえるようです。ただこちらでも、iDeCoでは運用益が非課税になるため、他で預貯金が確保できているならiDeCoであえて高いリターンを狙うのも手だと言います。※13
仮に確定拠出年金だけで他の投資を用いない場合は、TOPIX連動型のインデックス・ファンドと、先進国株式のインデクス・ファンドを概ね半々の割合で買うのが無難なようです。※8
2.運用商品を決める方法
①資産の大まかな分数(アセットクラス)毎に1商品、シンプルなものを選ぶことのようです。
②同じアセットクラスならコストの安い商品を選ぶことのようです。
③手数料の安い、国内外株式のインデックス・ファンドで運用するのが良いようです。国内株式と外国株式とに投資する比率は、自分の運用全体を通して半々程度になっていればいいようです。
運用商品の評価は、先ず実質的な「手数料」のみで行うと良いともいわれます。
同一カテゴリー商品より手数料が高いものは、それだけでダメとも言えるようです。※8
運用管理手数料が最大でも年率0.6%を超えるような商品が一つもない場合、概ねよく抑えられていると考えられるようです。
国内株式のインデックスファンドが0.16%やバランスファンドが0.525%はやや高く、外国株式インデックス・ファンドが0.168%(税込み)は十分安いようです。※8
④特に、外国株式のインデックス・ファンドの手数料に注目する事が良いようです。先ず外国株式のインデックス・ファンドから考える事が適切な場合が多いようです。
⑤自社株に投資する商品と、運用管理手数料の高い商品を避けることが良いようです。※8
3.NISAと確定拠出年金の課税口座との使い分け
NISAも運用非課税というメリットを最大限に生かすためには、自分の運用全体の中で期待リターンが高い資産を集中的に割り当てるべきという考えもあるようです。
NISAに比べて確定拠出年金は利用できる商品ラインナップによって利用価値に大きな差があるようです。運用対象のスイッチングができ、柔軟性があり、ただ60歳まで引き出すことができないことが確定拠出年金の特徴のようです。
一方NISAは広い範囲の商品の中から運用対象を選ぶことができるようです。※8
・商品の入れ替え…DCは可能で、NISAは出来ない(一度売却したら、その枠への再投資は出来ないようです)ようです。
・売却・換金のし易さ…DCは原則60歳になる迄引き出せないようです。NISAはいつでも売却可能のようです。
・運用商品の選択肢…DCは選べる商品が限られていることと、外国株式のインデックス・ファンドで、一般より手数料が安い事があるようです。NISAは一般に売られている商品から幅広く選択できるようです。手数料の安いETFを選択できるようです。
・拠出金額…DCは長期的には大きな金額で運用できるようです。NISAはDCに比べて少額(年間1人120万円×5年)。
・加入条件…DCは加入条件があり、NISAは国内在住の20歳以上であれば、誰でも加入できるようです。
・売買時以外での手数料…DCは加入時や運用期間中等に手数料がかかるようです。NISAは口座開設・維持は無料のようです。※8
外国株式インデックス・ファンドから考える方がよいとも言えるようです。
自分の運用全体で、アセットクラス毎にどの資産分類をどれだけ運用するかの計画を決めたら、その中で、期待収益率の高い運用商品を先ず確定拠出年金とNISAに「割り当てる」ことが合理的だからのようです。
中でも、確定拠出年金のラインナップに確定拠出年金向けに設計された手数料の安い外国株式のインデックス・ファンドが含まれている場合は、これを確定拠出年金で集中的に運用したいようです。
また、運用手数料が抜群に安いTOPIX連動型EFTは確定拠出年金では投資できないが、NISAでは選択できるので、こちらをNISAに割り当てることから考え始めると、正解に近づく事が多いようです。NISAとのバランスを取る上でも、確定拠出年金では外国株式のインデックス・ファンドが最適な選択肢になり易いようです。※8
3章・商品別の特徴
1.特徴とラインナップ
確定拠出年金で積立できるのは大きく2種類で「定期預金」と「投資信託」のようです。※13
「バランス型」の商品と「元本確保型」の商品は確定拠出年金の運用益途中非課税のメリットを十分に活かせないようです。※8
確定拠出年金で積立できる投資信託は、買付手数料ゼロ、運用管理費の信託報酬も最安クラスと、低コストで良質な商品が揃っているようです。金融機関が販売できる商品数も35本までに絞られている(ターゲットイヤー型はシリーズをまとめて1本カウント)ので、商品選びに迷わず済むようです。※13
企業型の場合は、会社別にラインアップが違います。
平均商品数は18本(※企業年金連合会の調査2013)とも。
「あれも・これも型」とは、20~30個くらいの商品が並んでいて、インデックス・ファンドも、アクティブ・ファンドも、運用会社が確定拠出年金に好適だと称するライフサイクル・ファンドなども雑多に並んでいるケースのようです。※8
【確定拠出年金に安い投資信託があることが多い理由】
➀一般向けの投資信託では、運用管理手数料の中から半分程度、運用会社が販売会社に「代行手数料」という名目の手数料を支払うことが多く、この手数料が必要ない分コストを低くすることが可能なためのようです。
②運用会社が設定している大手の年金基金向けの資金運用の手数料は、もともともっと安いためのようです。※8
またリスク資産に投資する「投資信託など」では運用管理手数料は0.9~1.9%くらいは高いと考えられるようです。
更にアクティブ・ファンド運用は、内容を評価できるような投資教育など提供できるはずがないし、確定拠出年金の事務局が将来の運用成績が良いアクティブ・ファンドを責任を持って選ぶことなどできないようです。
推奨としては、a.外国株式(先進国)のインデックス・ファンドで運用管理手数料が年率0.1404%(税込み)とb.国内株式インデックス・ファンド年率0.1242%(税込み)は、運用資産の大半が確定拠出年金になっている方の場合、確定拠出年金の枠内でa.b.に分散投資する事が適当とも考えられるようです。
一方、NISA口座等、確定拠出年金の外に運用資金を持っている方の場合、確定拠出年金でa.に投資して、外の資産でTOPIX連動型ETF(運用管理手数料が0.1%前後である)を持つ組み合わせが最適になるようです。
新興国株式に投資するファンドは運用管理手数料が0.594%(税込み)の場合は「まあまあ」のようです。
外国株式のインデックス・ファンドで運用管理手数料が年率0.1728%(税込み)は一般的に購入するよりも低く設定されているようです。※8
2.投資信託の株式
投資信託の株式には「インデックス型」と「アクティブ型」に分かれるようです。
インデックス型…指標に連動するインデックス型だと運用中にかかる信託報酬が低いようです。
アクティブ型…ファンドマネージャーが独自に運用するかわり、信託報酬が高めのようです。※13
過去の運用成績は、将来の運用成績と無関係ともいえるようです。※8
信託報酬というプロに支払う対価が年率から日割りにひかれていくようです。また信託財産留保額は解約手数料のようなもののようです。
【自社株を確定拠出年金で避ける理由】
確定拠出年金及び社員持ち株会では自社株は避けるのが鉄則になっているようです。
自分の収入と運用資産で、同方向のリスクを取るのは、資産運用の原則に反するようです。
会社としては、自社の社員は会社側に協力的な安定株主となり易いし、自社株を持った社員は仕事に対するモチベーションが高まることがあるため実施しがちのようです。※8
【商品ラインナップ別特徴】
全世界株型…先進国・新興国まんべんなく世界中の株が組み込まれているようです。なお、世界の株式市場の時価総額のうち6割は米国株に集中しているため、全世界株型の投信も6割は米国株で占められているようです。※13
世界経済インデック・ファンド(三井住友トラスト・アセットマネジメント)はバランス型の投信のようです。国内、先進国、新興国の債券と株がよくパッケージングで分散投資をすることでリスクを抑え、中長期的に資産を増やしていくタイプの人気商品のようです。※10
バランス型…債券なども入っているようです。債券の比率が高まるほど利益も損も小さくなるようです。※13
一定の割合で自動的に組み合わせてくれるようです。価格変動によってその組み合わせ比率に大きな変化が起こった場合は、自動的に売買をおこなって当初の配分比率を維持することからスタティックアロケーション型(静的資産配分型)とも呼ばれているようです。※9
ターゲットイヤー(目標年)型…バランス型の一種。初期は株の比率が高く、目標年に近づくにつれ債券の比率が高まる仕組みのようです。※13
株式市場が長期にわたって低迷している時期に、年齢が若いからという理由だけで株式の比率の高い運用をし、その後、長い低迷を過ぎてようやく株式市場が本格的に上昇を始めると、今度は年齢が高くなったので株式運用の比率を減らすというのは、合理的ではないようです。※9
米国株…近年は、米国株の運用成績がいいため、米国株型が人気を集めているといいます。※13
3.投資信託としての債券
【「外国債券」を確定拠出年金で避ける理由】
➀外国債券に関しては、為替リスクがあり、ある程度の大きさのリスクがある割には期待リターンが低い事が大きな理由のようです。
②円安になる場合は「外国株式」「国内株式」共に値上がり傾向があるのでこれらを持っているなら、十分な収益が得られるためのようです。そのためわざわざ候補に入れる必要性が感じられないようです。
③「外国債券」に投資する運用商品の中には、手数料が高く期待リターンが低いのにリスク・リターンが低いのにリスクが大きな「地雷」的商品がしばしばあることも、「外国債券」を避ける理由の一つのようです。
④日本の長期国債利回りばかりでなく、欧米先進国の債券の利回りも大きく下がっており、更に低下する余地が小さいようです。金利水準がもう2~3%高ければ、株式との組み合わせに補完的な効果が期待できる場合があるが、現状ではその可能性が小さいようです。※8
国内債券インデックス・ファンドと先進国債券インデックス・ファンドでは将来、内外の債券利回り水準が上がった時(国内債券なら2%以上に上がった時)に投資を検討する対象になり得るようです。※8
4.投資信託のREIT
また国内REITインデックス・ファンドが運用管理手数料0.54%も「まあまあ」のようです。確定拠出年金の場合、スイッチング(これまで積み立ててきた資産の商品構成などを変更すること)が出来るので、NISAで投資するよりも、不動産投資のリスクから抜け易い傾向にはあるようです。※8
■参考文献一覧■
※5…MIZUHOハンドブック『マンガでわかる確定拠出年金』
※8…『確定拠出年金の教科書』山崎元、2016.6.10、日本実業出版社
※9…『はじめての確定拠出年金投資』大江英樹、東洋経済新報社
※10…『誰も教えてくれなかった!「確定拠出年金」利回り 20%の投資法』2016.11.5横山光昭、宝島社
※13…『ダイヤモンド・ザイZAI』2022.3月号 ダイヤモンド社
※14…『お金は銀行に預けるな~金融リテラシーの基本と実践』勝間和代、2007.11.20光文社